人によって育まれてきた 多様な生き物たち

霧ヶ峰は、人々が長い間野焼きをし、採草地として利用してきた場所です。採草は1960年代まで行われていました。いくつものハイキングコースがあり、グリーンシーズンは500種程の花々、冬は雪原を楽しむことができます。

シカから花を守る柵

防鹿柵霧ヶ峰では、一面に咲き誇るニッコウキスゲが夏の風物詩となっています。その花をシカが食べはじめ、2007年頃から花の減少が深刻化しました。シカはニッコウキスゲだけなく多くの植物を食べるため、ビーナスラインや遊歩道に沿った主要な区域に電気柵等を設置してシカの侵入を防いでいます。柵の効果はてきめんで、柵内では多くの花や昆虫が以前のように観察されています。

・ 高山帯にまで広がっているシカから植物を守るため、春~秋に電気柵を設置。電圧は約6000V。
・ 柵内の花密度は柵外の100倍以上。花に依存する蝶や蜂なども多く見られます。

 

八島ヶ原湿原

八島ヶ原湿原枯死したミズゴケが分解されずに泥炭となり、蓄積し小高くなり、雨水のみで植物が維持されている高層湿原。八島ヶ原湿原は、泥炭層の厚さが約8mに達する日本有数の高層湿原で、面積は約43ha、1万年程の時を経て今の姿になりました。上空から見ると、ハート型。湿原の周囲に整備された歩道からは、花やチョウなどたくさんの生き物たちを間近に観察することができます。

樹 叢 (じゅそう)

樹叢草原の所々の、採草に適さない場所に残されたこんもりした樹林です。ミズナラ、ミヤマザクラ、カシワ、ダケカンバ、コメツガなどが生育します。林床には岩石、洞穴などもあり、岩上にコケがむすなど原生的な自然が維持されています。

 

 

野焼きのいま

野焼き霧ヶ峰の草原は、採草や野焼きにより維持されてきた半自然草原です。残る記録は16世紀からですが、黒ボク土の分析から野焼きが縄文時代から続いてきた可能性が示されました。1960年代以降、土地利用の変化や高齢化等で野焼きは徐々に減少し、いま、その長い歴史が終わろうとしています。今後、草原はどのように変わっていくのでしょうか。見守っていくことが大切です。

黒ボク土と野焼き

黒ボク土黒ボク土とは、炭化した小さな植物片を多く含む黒い土で、火山活動や野焼きで出来ると考えられています。霧ヶ峰の黒ボク土は地表から50cmほど下が今から約5800年前のもので、地表面まで途切れずに厚く大地を覆っています。人による野焼きが継続していたと考えられます。