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生物多様性ホットスポット1( 日本を代表する 高山植生)

生物多様性ホットスポット1(日本を代表する高山植生)


中部山岳域の山道を登り、森林限界をぬけて視界が大きくひらけると、匍匐するように低く枝を広げてハイマツの群落が広がり、そのところどころに高山植物の花々の咲く群落が展開します。これらの高山植生は、日本の生物多様性ホットスポットの重要な一部分を占めています。

高山植物_北アルプス 日本の高山植物の多くは、氷期に大陸から分布を広げ、後氷期の気候の温暖化によって高山に生き残ったと考えられています。それぞれの種の広域的な分布型から、周北極要素・アジア要素・太平洋要素などに分けられています。日本の高山植物に占める固有種の割合は49%で、これは日本の維管束植物全体に占める固有種の割合36%よりもさらに高い値です。雲海に浮かぶ島々として、似た環境のある場所から互いに隔離されているため、固有種が進化しやすいと考えられます。
後氷期の日本の比較的温暖な気候のもとでこれらの植物が生きのびることができたのは、世界有数の強風や深雪をともなう厳しい環境や、高山に特有のさまざまな地形や地質に適応することができたためと考えられています。中部山岳域では、強風が吹きつける稜線の西側に風衝地、多量の雪がたまりやすい稜線の東側に雪田ができることが多く、それぞれの立地に応じて異なる植物群落が形成されます。これらのほかにも、地形や地質に応じてさまざまなタイプの高山植物群落があります。
高山植物の種数のグラフ中部山岳域で特に高山植物の種数が多いのは、飛騨山脈(北アルプス)・赤石山脈(南アルプス)・八ヶ岳です。これらの山々は、全域が生物多様性ホットスポットである日本列島のなかでも特に重要な、いわばホットスポット中のホットスポットです。